No.46【繰り上げ返済の罠】
「どんどん返す」が正解じゃないケースを、皆様はご存じですか?
こんにちは。HIKAGEの代表をしている日影道也です。
「住宅ローンは、払えるときにどんどん返した方がいいですか?」
お客様との打ち合わせの中で、こういう質問をいただくことが多くあります。
気持ちはよくわかります。借金はなるべく早く片付けたい。それは自然な感覚です。
ただ、「今の時代に合った考え方か」という点では、
一度立ち止まって整理する価値があるテーマです。
今日は繰り上げ返済について、「正解を押し付ける」のではなく、
「考えるヒントを持ち帰ってもらえれば」という気持ちでお伝えします。

この記事でお伝えしたい事
- 繰り上げ返済の2種類と具体的な違い
- 「早く返す」が逆効果になるケース
- 手元資金を手放すべきでない具体理由
- 控除打ち切りにならない返済の注意点
- 迷ったときの整理の仕方と相談の場所
繰り上げ返済「2種類の違い」を知らないまま返すのは危険
難しい話に入る前に、言葉の整理からしておきましょう。
繰り上げ返済とは、毎月の決まった支払いとは別に、
手元のまとまったお金をローンの「元本(借りたお金そのものの残高)」に直接充てることで、
返済の負担を軽くする方法です。毎月の返済は利息と元本が混ざった金額を払っていますが、
繰り上げ返済では元本だけを先に減らせるので、その分の利息がかからなくなります。
繰り上げ返済には、やり方が2種類あります。
| 期間短縮型 | 返済額軽減型 | |
| 変わるもの | 返済が終わる時期 | 毎月の支払い額 |
| 変わらないもの | 毎月の支払い額 | 返済が終わる時期 |
| 主なメリット | 利息の削減効果が大きい | 月々の家計がすぐ楽になる |
| 向いている方 | 早くローンを終わらせたい | 毎月の出費を抑えたい |
数字の上では、利息をより多く削れる「期間短縮型」がおトクとされることが多いです。
ただし、後述するように期間短縮型には
「住宅ローン控除が途中で打ち切られるリスク」が存在します。
2種類の違いと、それぞれの注意点を把握したうえで選ぶことが大切です。

100万円を今すぐ返す前に、確認してほしい3つのこと
ここが今日の本題です。少し想像してみてください。
手元に100万円あって、繰り上げ返済に充てたとします。利息は確かに減ります。
ただ、その半年後に子どもが受験を迎えて、まとまったお金が必要になったとしたら——。
一度ローンに入れたお金は、すぐには引き出せません。
「あのとき手元に置いておけばよかった」と感じるケースは、実際にあります。
もちろんこれは一例です。「返せるから返す」という判断の前に、
「今この100万円は、どこにあるのが一番いいか」という視点を持つことが大切です。
住宅ローンの変動金利は、2024年以降の利上げを経ても
なお比較的低い水準にあります(2026年2月時点の最低水準は0.475%前後)。
ただし、日銀は2024年のマイナス金利解除後に3回の追加利上げを実施し、
政策金利は約0.75%まで上昇しています。
こうした環境の変化を踏まえると、「急いで返す」よりも
「手元資金と返済のバランスを整える」ことが、一層重要な判断になってきています。

繰り上げ返済で「かえって損をする」パターンとは
「繰り上げ返済をたくさんする人=お金の管理がしっかりしている人」
というイメージがあるかもしれません。
ただ実際の相談の中では、待ってほしいケースも少なくありません。
近い将来に大きな出費が見込まれる場合
お子さんの進学、車の買い替え、親の介護——ライフイベントは突然やってくることもあります。
手元に使えるお金がない状態は、いざというときに動けない状況になりかねません。
生活費の3〜6か月分程度の現金が十分でない状態で繰り上げ返済に回すのは、注意が必要です。
住宅ローン控除を受けている期間中
「住宅ローン控除」とは、ローン残高に応じて毎年の税金の一部が戻ってくる制度です。
2026年時点では控除率0.7%、新築住宅で最長13年間が適用されます。
ローン残高が減ると、この戻ってくる金額も小さくなります。
控除を受けている期間中は、残高を急いで減らすよりも控除を最大限活用した方が、
家計全体で見るとお得になるケースがあります。

「10年を下回る」返済期間への短縮に注意
これは特に見落としやすい点です。期間短縮型の繰り上げ返済を行い、
残りの返済期間が10年未満になってしまうと、住宅ローン控除の適用がその時点で失効します。
たとえば残り11年の状態で2年分を一気に短縮してしまうと、
翌年から控除がゼロになる可能性があります。
控除期間中の繰り上げ返済は、必ず「残り何年になるか」を事前に確認してください。
※制度の詳細は年度・条件によって異なります。
最新情報は専門家や国土交通省の公式資料でご確認ください。

迷わず返して正解。繰り上げ返済が有効な人の条件
「繰り上げ返済はしない方がいい」という話ではありません。
しっかり機能するケースもあります。
手元の資金に十分な余裕があり、急な出費への備えも整っている。
定年までにローンを終わらせておきたい、という明確な目標がある。
あるいは、「借金を抱えている」という状態が心理的に負担で、
安心のためにも早く終わらせたい——そういう方には、繰り上げ返済は合理的な選択です。
数字だけでは測れない「精神的な安心感」も、判断の根拠になり得ます。
お金の判断は計算だけで完結するものではありません。

金利上昇局面の今、手元資金をどう配分するか
「繰り上げ返済と資産形成、どちらが正解か」という問いへの一律の答えはありません。
ご家族の年齢や収入、これからのライフイベント、お子さんの人数、老後の計画——
すべてが絡み合って、最適な判断は変わります。
また、2026年の今は金利が上昇局面にあるため、変動金利で借りている方は
「月々の返済額が今後増える可能性」という視点も加わっています。
ひとつの考え方として、「繰り上げ返済は、緊急の備えと今後の支出計画を整えたうえで、
余裕が出た分から少しずつ」というスタンスは、
多くのご家族にとってバランスがとりやすい判断軸です。
あくまで参考として、頭の片隅に置いていただければ。

【まとめ】低金利から金利上昇局面へ──今こそ「繰り上げ返済の判断基準」を持つ
繰り上げ返済は「返せるなら返す」ではなく、
手元資金の確保・住宅ローン控除の活用・返済残期間の管理、
そして今後の金利上昇リスクも含めた家計全体のバランスで判断することが大切です。
「どんどん返す」という思い込みを一度整理し、ご家族の状況に合った判断軸を持つことが、
長く安心して暮らせる家計づくりにつながります。
- 期間短縮型で返済残期間が10年未満になると住宅ローン控除が失効するため、事前の確認が必須
- 緊急予備資金や近い将来の出費を確保したうえで判断することが、家計の安全につながるため
- 2026年は金利上昇局面にあり、変動金利リスクと手元資金の両面から返済計画を見直す好機であるため
「急いで返す」ことより「正しく整理する」ことが、今の時代の賢い判断です。
迷いを整理したいなら、専門家と一緒に考えるという選択肢
「ローンのことをちゃんと確認したいけど、どこに相談すればいいかわからない」
——富山市内のお客様からも、そういったご相談をいただくことがあります。
HIKAGEでは提携しているファイナンシャルプランナー(FP)がおり、
住宅ローンに関することも丁寧にご対応しています。
繰り上げ返済のタイミング、手元資金の考え方、ライフプランとのバランスなど、
気になることがあればお気軽にお声がけください。
「まだ家を建てるか決めていない段階でも相談できる?」
——もちろんです。早い段階で整理しておく方が、
家づくりの計画全体がスムーズに進むことが多いです。
資金面の不安を一つひとつ解消していくことで、
「思っていたより動けそう」と感じていただけるご夫婦も多くいらっしゃいます。

お金のことは、整理してみると意外とシンプルになることも多いものです。
「なんとなく不安」という段階でも、ぜひ気軽にご相談ください。
HIKAGEの施工エリアについて

HIKAGEでは、富山市を拠点に、射水市・高岡市・滑川市・上市町・立山町・舟橋村などを主な施工エリアとしております。拠点から車で40分圏内を主な商圏とし、「何かあればすぐに顔を出せる距離」を大切にしています。
家づくりの相談から資金計画、住まいのアフターまで、
長くお付き合いできるパートナーでありたいと思っています。
「建てて終わり」ではなく、これからの暮らしも一緒に考え続ける——
そういう工務店でいたいと考えています。
住宅ローンや繰り上げ返済についてのご相談も、どうぞお気軽にお声がけください。
<上記エリア以外につきましては、弊社担当までご確認ください>