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No.58【収納不足の正体】
多めに確保しても散らかる?後悔を防ぐ奥行きと場所に関する重要性

こんにちは。富山市の工務店、HIKAGEの日影道也です。

「今の家が片付かないから、新築ではとにかく収納を増やしたい」というご要望は、家づくりの打ち合わせにおいて最も頻繁に伺うものの一つです。
現在の住まいで収納不足を感じている場合、新しい家では「面積」を増やすことが解決の近道であると考えられがちです。

しかし、実は収納をただ大きく作ることが、住み始めてからの利便性を損なうケースが少なくありません。

特に2026年現在、ナフサショックに伴う資材価格の上昇により、「1坪」を増やすための建築コストは過去最高水準にあります。
安易に大きな納戸を作ることは、将来の住宅ローン返済や固定資産税の負担増に直結します。
大切なのは、大手の統計が示す客観的な目安を理解しつつ、富山という土地での「実際の生活動線」に落とし込むことです。

今回は、数値と現場の事実に基づいた、誠実な収納計画の考え方をお伝えいたします。

壁一面に無垢材の造作テレビボードと収納棚を配置した、北欧スタイルのリビング。バーチカルブラインドから柔らかな光が差し込む。

この記事でわかること

・満足度が高い住まいの定量指標「収納率14.1%」が持つ真意

・大手メーカーの調査から判明した、収納の「面積」と「不満」の相関関係

・建築コストを抑制しつつ、収納機能を最大化する具体的設計手法

・「収納指数」を指標とし、家事負担を物理的に軽減する配置の考え方

・富山の降雪地域特有の「玄関・土間収納」を賢く構築するための視点

建築費高騰下で選ぶべきは「広さ」より「距離」

収納を計画する上で、一つの重要な指標となるデータがあります。
積水ハウス株式会社が実施した「住まいの暮らしに関する調査(2022年)」によれば、住まいの満足度が高い層の平均収納率は「14.1%」という結果が出ています。

しかし、この数値をそのまま「大きな納戸を1つ設ける」という判断に繋げるのは注意が必要です。
同調査では、収納の「面積」以上に、使う場所と片付ける場所の物理的な距離を示す「収納指数(出し入れに要する歩数や動作)」が、日々の心理的ストレスに大きく関与していることが示されています。

例えば、1階で頻繁に使用する掃除機を2階の納戸に保管する設計では、収納面積が十分に確保されていても、室内が散らかる傾向にあります。
2026年の家づくりにおいて、私たちはこの「14.1%」という指標を、単なる平面的な面積ではなく、「生活の要所に高密度に配分された機能」として捉える必要があると考えています。

無垢フローリングとグレーのアクセントクロスが調和した、シンプルで開放的なLDK。ダイニングからリビング、和室まで一直線につながる動線。

富山の冬と「家族の動線」から導き出す、14.1%の賢い配分方法

富山県内での暮らしにおいては、全国平均のデータだけでは測りきれない「地域特有の収納物」が存在します。

雪国富山において最優先すべき「玄関土間の多機能化」

冬の重厚なコート、雪で濡れた長靴、そして除雪道具の数々。
これらを室内の居住スペースに持ち込まずに玄関先で完結させることは、住まいの耐久性と清潔感を保つための必須条件です。
HIKAGEでは、玄関土間に「コートハンガー」や「濡れたものを一時保管できる造作棚」を設けることで、帰宅から収納までを一つの流れとして仕組み化しています。

共働き世帯の家事時間を短縮する「分散収納」の論理

共働き世帯が一般化している富山において、洗濯から収納までの歩数を最小化する設計は、暮らしの質に直結します。
脱衣室の直近に、日常的に使用するタオルや衣類を収める「造作の収納」を配置する。
こうした数センチ単位の配慮が、リビングに洗濯物が滞留する事態を防ぎます。
これは、物理的に大きなクローゼットを設けるよりも、実生活において遥かに高い投資対効果を生み出します。

グレーのタイル床と可動棚、ハンガーパイプを備えた、土間収納のある広々とした玄関エントランス。

坪単価の上昇を賢く乗り切る

2026年5月現在、1坪(約3.3平米)を増設するための建築コストは、歴史的な高水準にあります。
収納を増やすために単純に延べ床面積を拡大することは、建築費の増大のみならず、将来の固定資産税の負担増や、冷暖房効率の低下による光熱費増を招く側面があります。

加えて、最新の補助金制度である「みらいエコ住宅2026事業」の基準を満たすには、建物の外皮面積を抑え、断熱性能(UA値0.46以下)を維持する設計が合理的です。
そこで私たちは、面積を増やさずに収納容量を確保する「造作家具」の活用を提案しています。

【比較表】面積の拡大による収納確保と、造作による高密度収納の違い

比較項目面積を広げる(増床)密度を高める(造作)
建築費の性質坪単価に比例したローン増(数百万円規模)部品・加工費(数万円〜の集中投資)
維持管理の負担掃除面積、将来の固定資産税が増加居住面積を変えず、資産価値を高める
断熱性能(UA値)外皮面積が増大し、性能維持が困難コンパクトな形状を保ち、高断熱を維持
利便性の本質物を詰め込むだけの「場所」になりやすい使う場所のすぐそばに「定位置」ができる

私たちは、壁の厚みを利用した「ニッチ収納」や、柱と柱の隙間をミリ単位で活用する棚づくりなど、大工出身の技術を設計に反映させています。
こうしたデッドスペースを「機能」へと変換することで、延べ床面積を適正に保ちながら、積水ハウス様の調査にあるような「満足度の高い収納環境」を実現することが可能になります。

キッチン横の壁面に設けられた、照明付きの木製ニッチ収納。リモコンや鍵、書類を整理できる便利な家事コーナー。

適正な収納を見極めるための、事実に基づく3つのプロセス

理想の収納計画を立案するためには、感覚ではなく、客観的な順序に沿って暮らしを整理することが有効です。

ステップ1:現在の「モノの滞留場所」を客観的に特定する

現在お住まいの家で、リビングやダイニングのテーブル上に「置かれたままになっているもの」をリストアップしてください。
それが、新しい家において「歩数ゼロ」の位置に定位置を必要としているものです。

ステップ2:収納物に合わせた「奥行き」の個別設定

全ての収納を押し入れのような深い奥行きにする必要はありません。
文房具なら15cm、書類なら30cm、衣類なら60cm。
入れるものに最適化された奥行きを設定することで、奥のものが取り出しにくくなる「デッドスペース」の発生を物理的に防ぎます。

ステップ3:将来の変化に対応できる「物理的な余白」の確保

お子様の成長やライフスタイルの変化に伴い、収納に求められる機能は変わります。
全てを固定して作り込むのではなく、棚板の高さを変更できる可動式の仕組みや、将来的に家具を配置できる壁面を残しておく「可変性の設計」が、長期的な満足度に寄与します。

無垢材のテーブルの上で、収納バスケットのサイズをメジャーで測り、間取り図や建材サンプルと照らし合わせながら検討する様子。

【結論】30年後の資産価値を守る収納計画。坪数を削り、造作で「使い勝手の密度」を高める勇気

積水ハウス様の調査が示す「収納率14.1%」という数値は、豊かな暮らしを支えるための一つの重要な目安です。
しかし、その数値を達成するために「面積(広さ)」を買い足すことが、現在の住宅市場において最善の策であるとは限りません。

家づくりにおいて大切なのは、収納を「多ければ安心」という不安の解消手段にするのではなく、「心穏やかに、家族と時間を過ごすための仕組み」として設計することだと私たちは考えています。

資材価格が高騰する現代において、面積を広げることで解決しようとするのは容易ですが、それは将来の負担を増やすことにも繋がります。
むしろ、壁一枚、柱一本の隙間にまで知恵を絞り、造作を活用することで、限られた面積の中で最大限の利便性を引き出すこと。
それこそが、富山の地で家づくりを託してくださる方に対する、私たちHIKAGEの誠実な姿勢であると自負しています。

数字上の収納率という「結果」に縛られるのではなく、自分たちが「どう動けば楽になるか」という過程に目を向けてみてください。
その対話の積み重ねが、住み始めてから
「本当に使いやすい家だね」と言い合える未来を創り上げます。

木の温もりを感じるLDKで、ソファに座りながらくつろぐカップル。キッチンやスタディースペースが見渡せる開放的な間取り。

【結論】2026年度の補助金要件と収納計画の整合性

収納計画の成功は、単なる面積の確保ではなく、建物の「性能」と「コスト」を最適化する設計にあります。
2026年度に施行されている「みらいエコ住宅2026事業」などの恩恵を最大限に享受するためにも、以下の3点に基づいた合理的な判断が推奨されます。

・満足度は、面積ではなく「分散配置」によって達成する

・収納の「面積(坪数)」を増やす予算を、使い勝手を向上させる「造作」へと転換する

・富山の地域性に特化した「土間・外部収納」を計画初期に組み込み、室内の容積を確保する

客観的な調査データに基づきつつ、富山の暮らしを知るプロの視点を組み合わせることで、30年後も色褪せない機能的な住まいが完成します。

大工職人が鉋(かんな)を使い、木製家具の角を丁寧に仕上げる様子。手仕事の精密さが伝わる建築現場のひとコマ。

【補足】みらいエコ住宅2026事業と「中身の濃い家」の関係

最後に、性能面での重要な補足です。
2026年度の補助金制度では、断熱等級6(UA値0.46)以上の確保が強く推奨されています。
建物をコンパクトに設計しつつ、収納機能を造作で補完する手法は、外壁面積を抑えて熱損失を減らすため、この高水準な性能を達成しやすくなるという物理的なメリットがあります。

無駄な坪数を削り、その分を高性能な窓や断熱材、そして毎日の暮らしを助ける造作家具に充当する。
これこそが、2026年に最も賢く、満足度の高い家を建てるための論理的な正解です。
私たちと一緒に、数字の先にある「本当の暮らしやすさ」を整理してみませんか。

ハンモックや観葉植物があるナチュラルな空間で、パソコンの画面を見せながら家づくりの打ち合わせを行うスタッフと施主。

HIKAGEの施工エリアについて

住まいは完成してからが本当のスタートです。
だからこそHIKAGEでは、万が一の際にも迅速に対応できる距離感を重要視しています。

具体的には、富山市を中心に、射水市・高岡市・滑川市・上市町・立山町・舟橋村など、拠点から車で40分圏内を主な施工エリアと定めております。

すぐにお伺いできる範囲に限定することで、日々の暮らしの中で生じる細かなご要望やメンテナンスにも責任を持って対応いたします。
地域に根ざしたパートナーとして、皆様の住まいの成長を共に見守り続けてまいります。

<上記エリア以外につきましては、弊社担当までご確認ください>

【出典情報】

本記事内の調査データおよび「収納率14.1%」「収納指数」の考え方については、以下の情報を参照しております。

出典:積水ハウス株式会社「住まいの暮らしに関する調査(2022年9月30日)」

URL:https://www.sekisuihouse.co.jp/company/stories/20220930/

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