No.66【鍵だけでは足りない?】
新築・注文住宅で後悔しない防犯対策、設計段階から考えるべき理由とは
こんにちは。富山市の工務店、HIKAGEの代表の日影道也です。
大工歴15年・二級建築士として、これまで多くのご家族の家づくりをお手伝いしてきました。
今回は、家づくりのご相談の中でも最近とくに増えている「防犯への備え」について、私なりの視点でお伝えしたいと思います。
「鍵はちゃんとかけているし、うちは大丈夫」と思っていませんか?
実は、一戸建てにお住まいの方の約67%が自宅の防犯に不安を感じているというデータがあります(2026年5月 株式会社NEXERとエクスショップによる調査)。
そして不安を感じながらも、外構(門扉・フェンス・シャッターなど)の防犯強化を実際に行った方はわずか1割未満という現実もあります。

この記事では、なぜ「家の外」の備えが大切なのか、そして注文住宅を建てるタイミングだからこそできる防犯対策の考え方を、HIKAGEの設計視点も交えながら丁寧にお伝えします。
一戸建ての防犯、実はほとんどの人が「家の外」を見落としています
防犯対策と聞くと、多くの方が真っ先に「鍵」や「窓」を思い浮かべます。
補助錠を付ける、二重鍵にする、窓ガラスを強化する——確かにこれらは大切な対策です。
しかし家の中の対策が充実していても、玄関や敷地の外側が無防備であれば、そもそも侵入者を「家に近づかせない」という視点が抜け落ちてしまいます。

株式会社NEXERとエクスショップが2026年4月に実施した調査では、一戸建てにお住まいの方400名を対象に防犯意識を調査しました。
その結果、防犯対策として「特に何もしていない」と回答した方が45.8%と最多で、対策をしている方の中でも「門扉・フェンスの強化」に取り組んでいる方は6.0%にとどまっています。
さらに興味深いのは、61.3%の方が「家の外(門扉・フェンス・シャッター)の対策はできていないと感じている」と自覚していること。
つまり、多くの方が「外側が手薄だとわかっているけれど、手をつけられていない」という状況にあるそうです。
外構の防犯強化を「検討したが実施していない」と回答した方にその理由を尋ねると、最も多かったのは「費用がいくらかかるか分からない」(39.6%)、次いで「効果があるか不明」(31.3%)、 「どこに相談すればいいか分からない」(21.9%)でした。
いずれも「情報不足」が行動を妨げていることがわかります。
家づくりを考えているタイミングこそ、こうした外構防犯も含めて一緒に設計段階から考える絶好の機会です。
なぜ「外構」が防犯の第一線になるのか
では、なぜ外構が防犯上重要なのでしょうか。
まず「侵入の難易度を上げる」という考え方があります。
同調査では、外構の防犯対策の有無で侵入リスクに「差がある」と感じている方が76.5%に上りました。
回答者からは「この家は防犯対策しているな、と思わせるだけで狙われにくそう」「簡単に敷地内に入れないことが防犯の初歩」といった声も寄せられています。

防犯の考え方のひとつに「防犯環境設計(CPTED:Crime Prevention Through Environmental Design)」という概念があります。
これは1970年代にアメリカで提唱され、日本でも警察庁と国土交通省が共同で策定した指針などに取り入れられている考え方です。
建物や外構の設計自体によって犯罪を起こしにくい環境をつくることを目的とし、日本の公的な指針では主に次の4つの手法に基づいています。
- 監視性の確保:外から敷地内が見えやすく、犯行が人目につきやすい環境にする
- 接近の制御:塀やフェンスで侵入ルートを絞り、不審者が入りにくくする
- 領域性の強化:「ここからは私有地」とわかる境界をつくり、侵入者に心理的プレッシャーを与える
- 被害対象の強化・回避:侵入されにくい建物部品や素材を選ぶ
これらを踏まえると、フェンスや植栽の配置、門扉の種類、照明の場所といった外構の設計が、防犯においていかに重要かがわかります。
後からリフォームで整えることも可能ですが、家を建てる段階で設計に組み込むことで、コストを抑えながらより効果的な仕様にしやすくなります。
新築・注文住宅だからこそできる、防犯を意識した設計の考え方
HIKAGEでは、家を設計する際に「安全・安心」を住宅性能と同じように大切な軸のひとつとして考えています。
間取りと外構を一体で考える
防犯性の高い家づくりには、建物の配置計画と外構が連動していることが重要です。
たとえば、次のような視点を設計段階で検討することができます。
- センサーライトの設置場所を先に決める:配線や取付箇所を設計に組み込むことで、見た目もすっきりとした仕上がりになります
- 死角になりやすい場所をつくらない:植栽や塀の配置を工夫し、死角が生まれにくい外構計画を立てます
- 玄関・勝手口・窓の位置を防犯視点でも検討する:道路や隣家からの視線との関係を考慮しながら、開口部の位置を決めます
- 駐車スペース・アプローチのレイアウト:敷地への入り口が明確になるよう、アクセスルートを整理します

HIKAGEが得意とする「環境設計プラン」は、光とプライバシーを両立させることを大切にしています。
南向きの開口部や高窓を活かした採光設計と、外からの目線をコントロールする配置計画を組み合わせることで、明るく開放的でありながら視線が入りすぎない住まいを目指しています。
防犯という観点からも、この考え方はとても大切です。
玄関まわりの工夫
玄関は家の「顔」であると同時に、防犯上もっとも重要な場所のひとつです。
警察庁「令和6年の刑法犯に関する統計資料」によると、住宅への侵入窃盗で最も多い手口は「無締り」(約47.8%)、次いで「ガラス破り」(約30.1%)とされています。
「鍵のかけ忘れ」が最大のリスクであることを、まず押さえておましょう。

日常の戸締り習慣はもちろん、ピッキング(鍵穴に工具を差し込んで解錠する手口)に強いディンプルキーやスマートロックの採用、玄関周辺へのセンサーライト設置なども、抑止効果として有効とされています。
注文住宅では新築時からプランに組み込めるため、後付けよりも自然な形で仕上げることができます。
窓の防犯性能を高める
一戸建て住宅では「窓からのガラス破り」が侵入の主要手口のひとつとされています。
HIKAGEでは標準仕様として高性能樹脂窓「YKK AP APW430」を採用していますが、防犯性を高める観点から、窓の種類・配置・追加仕様の検討も大切です。
- 面格子・シャッターの設置:1階の窓や死角になりやすい窓には、面格子やシャッターを組み合わせる方法があります
- 防犯合わせガラスや防犯フィルム:ガラスを割られにくくする・割られても容易に開口が広がりにくくする仕様を選ぶことで、ガラス破りへの対策になります。なお、「合わせガラス」は防犯性能のあるものとそうでないものがあるため、防犯性能が確認できる製品を選ぶことをおすすめします
- 窓の高さと位置:人が容易に手の届かない位置に窓を設けるか、小さいサイズにするなど、設計段階での工夫も有効です

ただし、防犯性を高めすぎることで採光や通風が損なわれては本末転倒です。
生活のしやすさと安全性のバランスをどう取るかは、ご家族のライフスタイルを踏まえて一緒に考えることが大切だとHIKAGEは考えています。
「防犯カメラを付ければ安心」ではない。総合的な視点が大切な理由
最近では防犯カメラの価格が手頃になり、手軽に導入できるようになりました。
カメラの設置は「記録を残す」「犯行を抑止する」という点で効果が期待できます。
しかし、カメラだけに頼りすぎることには注意が必要です。
カメラが映すのはあくまでも「犯行後の記録」であり、侵入そのものを防ぐものではありません。
また、設置場所や角度によっては死角が生まれることもあります。

HIKAGEが考える防犯対策は、次のような「多層防御」の考え方です。
- 外構・外周(第一層):侵入者が敷地に近づきにくくする(フェンス・照明・植栽の配置など)
- 開口部(第二層):窓・ドアの施錠性能を高め、ガラス破り・ピッキングに強い仕様にする
- 検知・記録(第三層):センサーライト・防犯カメラで動きを察知・記録する
- 室内の最終ライン(第四層):補助錠・ドアチェーン・スマートロックで室内への侵入を防ぐ
この4つの層を重ねることで、どれかひとつが突破されても次の層で守れる仕組みができあがります。
特に新築の設計段階では、後から設置しにくい配線や取付箇所をあらかじめ組み込んでおくことが、将来的にも柔軟な防犯対策につながります。

防犯対策は「完璧にする」ことよりも、「侵入に手間とリスクを感じさせる家にする」ことが現実的な目標と言えます。
同調査でも「防犯対策をしているのが一目でわかる家は、犯行に及ぼうというときにわざわざ選ばれないと思う」という声が寄せられており、「見える備え」が持つ抑止力は決して小さくありません。
暮らしながら感じる「安心感」も、家づくりの大切な価値のひとつ
HIKAGEでは、防犯対策をコストや義務として捉えるのではなく、「毎日安心して過ごせる暮らしをつくるための設計の一部」と考えています。
たとえば、夜に帰宅したとき玄関前が明るく照らされている。
窓の外に人が近づいてもセンサーライトがすぐに反応する。
敷地の境界がしっかりと整えられていて、無断で入りにくい雰囲気がある——。
こうした環境は、数字では表しにくいですが、暮らしの中で確かな安心感を育んでくれます。

特に小さなお子さんがいるご家庭や、日中お一人で過ごす時間が多い方にとって、「この家にいると安心できる」という感覚は、快適な暮らしにとって欠かせない要素ではないでしょうか。
設計段階でこうした視点を丁寧に盛り込むことで、「暮らしてよかった」と感じていただける住まいに近づいていくとHIKAGEは考えています。
富山エリアでは、冬場に外出が限られる時期もあります。在宅中の安心感を高める設計もあわせてご提案できるよう、いつも心がけています。
この記事のまとめ
防犯対策は、家の中(鍵・窓)だけを見ていては不十分です。
今回ご紹介した調査の結果が示すように、多くの方が「外側の備えが手薄」と自覚しながらも、情報不足によって手をつけられていないのが現状です。
新築・注文住宅を建てるタイミングは、こうした課題を設計段階から解決できる、数少ないチャンスです。
外構・配置計画・開口部の設計・照明計画を一体で考えることで、後付けでは難しい防犯環境を、暮らしの快適さを損なうことなく実現できます。
「うちはまだ大丈夫」と思われているご家族にこそ、家づくりの計画段階で一度、防犯の視点を取り入れてみていただけたらと思います。
HIKAGEでは、安全・安心・快適のすべてを考えた住まいづくりを、誠実にお手伝いしています。

※本記事は執筆時点(2026年6月)の情報をもとにしています。防犯対策に関する法規・設備仕様・統計データなどは変更される場合があります。最新情報は各公的機関や専門業者にご確認ください。
引用元・参照元
株式会社NEXERとエクスショップによる調査「一戸建て住まいの『外からの脅威』に関する不安実態調査」(2026年5月7日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002657.000044800.html
※エクスショップ:https://www.ex-shop.net/
警察庁「令和6年の刑法犯に関する統計資料」
https://www.npa.go.jp/toukei/keiji35/new_hanzai06.htm
※侵入窃盗の手口・侵入口の統計として参照
政府広報オンライン「空き巣や強盗から命と財産を守る 住まいの防犯対策」
https://www.gov-online.go.jp/article/202310/entry-9977.html
※侵入手口・侵入口の解説として参照
防犯まちづくりガイド「防犯環境設計(CPTED)」
http://hintguide.kodomo-anzen.org/p051/tishiki-16/
※CPTEDの4原則の説明として参照
よくある質問〈FAQ〉
Q1. 防犯カメラは新築時に付けておいた方がいいですか?
A. 設置自体は後からでも可能ですが、新築時に配線や取付箇所を設計に組み込んでおくと、仕上がりが美しく将来的にも柔軟に対応しやすくなります。どこに設置するか、どんな仕様を選ぶかは、敷地の形状や外構計画と合わせて検討するのがおすすめです。
Q2. 防犯性を高めると、家の見た目がものものしくなりませんか?
A. 設計の工夫次第で、デザイン性と防犯性は十分に両立できます。たとえば自然石や木調のフェンスを使いながら高さや配置で視線をコントロールしたり、照明計画で夜間の視認性を確保したりと、外構デザインの中に防犯の考え方を自然に組み込むことが可能です。
Q3. 外構の防犯強化は、建築費用に大きく影響しますか?
A. 外構費用は建物本体とは別に計上されることが多く、予算の見通しが立てにくいと感じる方も多いようです。HIKAGEでは、建物と外構を一体でご提案する際に概算費用もあわせてご提示していますので、総額での資金計画が立てやすくなります。ご予算やご要望に応じて優先順位を整理しながら進めることができます。
Q4. 一階の窓はすべてシャッターにした方が安全ですか?
A. シャッターは有効な防犯手段のひとつですが、コストや日常の使い勝手との兼ね合いも大切です。すべての窓に設置するよりも、道路から死角になりやすい窓や、就寝中に開けっ放しにしやすい窓など、リスクの高い場所を優先して検討するのがひとつの判断基準です。個別の敷地条件によって最適な対策は異なりますので、設計段階でご相談ください。
Q5. 家の防犯について、家づくりの初期段階から相談できますか?
A. はい、もちろんです。HIKAGEでは、個別相談の段階から間取りや外構の考え方、防犯対策についてもお話を伺っています。「まだ何も決まっていない」という段階でも、ご家族の暮らし方や不安に思っていることをお聞かせいただければ、一緒に整理しながら進めることができますので、お気軽にご連絡ください。
HIKAGEの施工エリアについて
HIKAGEでは、富山市を中心に、射水市・高岡市・滑川市・上市町・立山町・舟橋村にて家づくりのご相談を承っています。
「うちのエリアは対応してもらえる?」と気になる方も、まずはお気軽にお問い合わせください。事務所から車で40分圏内を主な施工エリアとしております。
ご相談・お問い合わせについて
「防犯について相談しながら家を建てたい」「まずは資金計画や土地探しから聞いてみたい」といった段階からでも、HIKAGEではお気軽にご相談いただけます。
個別相談・オンライン相談・家づくり勉強会など、ご都合に合わせた方法でお話を伺えますので、気になることがあればいつでもお声がけください。