No.64【古家付き土地】
解体費を数百万円負担しても、「更地」より有利になるケースとは?
こんにちは。富山市を拠点に家づくりをお手伝いしているHIKAGEの代表、日影道也です。
土地探しをしていると、「古家付き土地」をよく見かけませんか。「解体費がかかるから更地が良い」と思われがちですが、実は解体費を負担してでも、古家付き土地の方が結果的に有利になるケースがあります。
本記事では、価格や立地の考え方、見落としがちなリスク、税金・補助金の仕組みまで、比較検討する際の判断基準をできるだけ分かりやすく解説します。皆さまの土地探しの不安を解消し、納得のいく選択ができるようお手伝いします。

古家付き土地が有利になるかの判断基準
まず結論から申し上げますと、解体費を負担しても古家付き土地が有利になるかどうかは、単純な土地価格の安さではなく、「総額・立地・建築計画の自由度・将来の暮らしへの合い方」を総合的に見て判断することが大切です。
なぜ古家付き土地が候補になるのか
更地はすぐに家づくりを始められるメリットがありますが、人気エリアほど市場に出にくく、価格も高止まりしやすい傾向があります。一方で古家付き土地は、解体費用の負担がある分、土地価格が割安に設定されている場合があります。
たとえば、相場より安く設定された古家付き土地を購入し、解体費を支払ったとしても、総額で見れば更地を買うよりも安く済む可能性があります。

希望の学区や生活利便性を満たす立地を手に入れるために、古家付き土地を選択肢に含めることは有効です。「総予算に収まるか」と「希望の暮らしが叶う立地か」のバランスを見極めることが、本当の意味での「お得」につながります。
古家付き土地が有利になりやすいケース
具体的にどのようなケースで有利になるのでしょうか。私たちが現場でよく直面する事例として、以下のような場合があります。
- 価格交渉の余地があるケース
売主様が「建物の管理が負担になっている」などの事情を抱えている場合、解体費用を考慮した価格交渉がスムーズに進むことがあります。 - 生活インフラが引き込まれているケース
更地に見えても、水道の引き込みに長距離の配管工事が必要になるなど、予想外の費用がかかることがあります。古家付き土地であれば、すでに給排水などのインフラが整備されていることが多く、トータルコストが抑えられる場合があります。

解体費・追加費用・法規制の注意点
古家付き土地を検討する際は、目に見えない追加費用や建築計画への影響(接道や法規制など)を事前に把握しておくことが重要です。
見落としがちな解体費用とアスベスト等のリスク
解体費は建物の構造・面積・残置物・アスベストの有無等で変わるため、一律の相場でお伝えすることは難しく、個別のお見積りが必要となります。特に注意が必要なのが「アスベスト(石綿)」と「地中埋設物」です。

現在、原則としてすべての建築物等の解体等工事において、アスベストの事前調査が義務付けられています。建築物の解体等工事では2023年10月1日以降、資格者による事前調査が必要となり、特定工作物についても2026年1月1日から資格要件が設けられました。
さらに、建築物の解体工事で延床面積が80㎡以上の場合や、建築物の改修工事および工作物の解体・改修工事で請負金額が100万円以上(税込)の場合は、事前調査結果の報告が必要です。もしアスベストが含まれていた場合、特別な除去作業に費用がかかる場合があります。

また、古い建物の基礎や浄化槽などの「地中埋設物」が出てくることもあります。さらに、建設リサイクル法により、延床面積80㎡以上の建築物の解体工事では工事着手の7日前までに自治体への届出が必要となるなど、各種手続きや追加費用への備えをしておくことが大切です。
建築計画(間取り・配置)との相性を見極める
古家付き土地の場合、現在の家が建っているからといって、同じ大きさの新しい家が建てられるとは限りません。用途地域や建ぺい率・容積率の制限、斜線制限、前面道路の幅員などにより、再建築時に制約を受ける場合があります。
一方で、古家があることで「日当たりはどうか」「車の駐車スペースはどのように確保できるか」といった生活のシミュレーションがしやすいというメリットもあります。隣地との境界が曖昧な場合は、測量をして境界を確定させる費用と期間も考慮する必要があります。

税金と補助金の基礎知識
古家付き土地を購入して建て替える場合、固定資産税などの税制や、自治体の補助金制度について正しく理解しておくと、長期的な資金計画が立てやすくなります。
固定資産税・都市計画税の「住宅用地の特例」とは
人が住むための家屋が建っている土地には、「住宅用地の特例」という課税標準額の軽減措置があります。一般的に、住宅の敷地のうち200㎡以下の部分(小規模住宅用地)は、固定資産税の課税標準額が1/6に軽減され、200㎡を超える部分(一般住宅用地)は1/3に軽減されます。
また、市街化区域内などで都市計画税が課税される地域においては、200㎡以下の部分は都市計画税の課税標準額が1/3に、200㎡を超える部分は2/3に軽減されます。なお、住宅用地として特例の対象となる面積には、原則として建物の床面積の10倍までという上限があります。

注意が必要なのは、古家を解体して「更地」にした状態で1月1日(賦課期日)を迎えると、原則としてこの特例の対象から外れる場合がある点です。ただし、富山市などの公式情報によれば、既存家屋の建て替えにおいて一定の要件を満たす建築中の土地には、特例扱いとなる措置が設けられていることがあります。
一方で、空き家対策として「特定空家等」や「管理不全空家等」に指定され、自治体からの勧告を受けた敷地は、住宅用地特例の適用対象外になる場合があります。実際の取扱いは自治体や建築スケジュールによって異なるため、購入や解体の前に必ず確認することが大切です。
解体補助金(富山市の例)について
自治体によっては、危険な空き家の解体に対して補助金を出している場合があります。
富山市では「老朽危険空き家等除却事業補助金」という制度があり、令和8年度(2026年度)も受付が行われています。この制度では、対象となる除却経費の1/2(上限50万円)が補助される内容となっています。
ただし、この補助金は「市の調査により一定水準以上の危険度があると判定された空き家」など、いくつかの条件を満たす必要があります。また、消費税・地方消費税や、家財道具の撤去・処分費用は補助の対象外となります。すべての古家付き土地に適用できるわけではないため、事前に適用要件をしっかり確認することをおすすめします。

地価公示とエリアの見方
土地の価値はエリアによって異なります。全国的にも地価が変動する中、相場感を正しくつかみ、長期的な視点で土地選びをすることが大切です。
令和8年地価公示の動向
国土交通省が2026年3月18日に公表した令和8年地価公示(2026年1月1日時点)によれば、全国平均では全用途平均・住宅地・商業地がいずれも5年連続で上昇しています。
富山県内でも、地点や用途によって価格の動きは異なります。人気エリアほど更地の供給が限られる傾向があるため、古家付き土地を選択肢に加えることで、希望の立地に出会える可能性が広がります。

本記事のまとめ
古家付き土地は、単に「価格が安いから買う」ものでも、「解体費がかかるから避ける」ものでもありません。「建物をなくした後の土地の価値がどれくらいあるのか」、そして「解体費を含めた総額が、自分たちの予算と理想の暮らしに見合っているか」で判断することが大切です。
表面上の条件にとらわれず、そこでどのような家を建て、どう暮らしていくかという長期的な視点で、安心して住み続けられる土地選びをしていただければと思います。

HIKAGEの施工エリアについて
弊社HIKAGEでは、富山市を中心に、射水市・高岡市・滑川市・上市町・立山町・舟橋村など、事務所から車で40分圏内を主な対応エリアとしております。
「土地探しから手伝ってほしい」「気になっている古家付き土地があるけれど、予算内に収まるか、希望の家が建つか不安」といったご相談も承っております。まずは情報収集からでも大丈夫です。家づくりに関して気になる点がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
引用元・参照元
- 国土交通省「令和8年地価公示を公表しました」
https://www.mlit.go.jp/page/kanbo01_hy_010767.html - 富山県「令和8年地価公示の概要」
https://www.pref.toyama.jp/1711/kendodukuri/toshikeikaku/keikaku-tochi/kj00000837/kouji_r8.html - 富山市「固定資産税・都市計画税とは」
https://www.city.toyama.lg.jp/kurashi/zei/1010215/1003433.html - 富山市「『住宅用地の特例』とは何ですか。どのような土地が対象になりますか。」
https://www.city.toyama.lg.jp/faq/1008447/1009955/1009475.html - 国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報」
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000035.html - 東京都主税局「『特定空家等』または『管理不全空家等』に該当すると土地に対する固定資産税・都市計画税の税額が高くなる場合があります。」
https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/kazei/real_estate/kotei_tosi/tokuteiakiya - 富山市「富山市老朽危険空き家等除却事業補助金」
https://www.city.toyama.lg.jp/kurashi/sumai/1010271/1010273/1015966.html - 富山県「石綿(アスベスト)の事前調査について(令和5年10月以降)」
https://www.pref.toyama.jp/1706/kurashi/kankyoushizen/kankyou/jizenchousa.html - 富山市「建設リサイクル法の届出」
https://www.city.toyama.lg.jp/shisei/machizukuri/1010808/1010810/1006424.html - 住信SBIネット銀行FAQ「〔住宅ローン〕 仲介手数料や解体費用を借入額に含められますか?」
https://help.netbk.co.jp/faq_detail.html?id=7125
※本記事は2026年5月末時点で確認できる公開情報をもとに作成しています。制度内容や受付状況、税の取扱いは変更される場合があります。最新情報は必ず公式窓口でご確認ください。
よくあるご質問(FAQ)
Q1. 古家付き土地を買う際、解体費用は住宅ローンに組み込めますか?
金融機関によっては、解体費用を借入額に含められる住宅ローン商品があります。ただし、金融機関ごとに条件が異なり、請負契約書等の書類提出による資金使途の確認が求められることが一般的です。事前審査の段階で金融機関へしっかりと確認しておくことをおすすめします。
Q2. 解体前に家財道具が残っている場合、処分はどうすればよいですか?
基本的には売主様側で処分していただく「残置物なし(更地渡し)」での契約が望ましいですが、「現状有姿(そのままの状態)」での引き渡し条件となることもあります。その場合は買主様側で処分費用を負担することになり、解体工事費とは別途費用がかかります。契約前に条件を確認し、事前に見積もりを取っておくことが大切です。
Q3. 古家付き土地の解体から新築まで、手続き等で期間はどのくらい変わりますか?
建物の規模にもよりますが、解体工事自体に加えて、アスベストの事前調査、延床面積80㎡以上の解体工事で必要となる建設リサイクル法に基づく事前の届出、解体後の滅失登記、地盤調査などの手続きが発生します。そのため、更地からスタートする場合よりも、スケジュールに余裕を持たせておく必要があります。
Q4. 年末に家を解体すると翌年の固定資産税が高くなると聞きました。本当ですか?
1月1日(賦課期日)時点で住宅が建っていない更地の場合、原則として住宅用地の特例の適用対象から外れる場合があります。ただし、既存家屋の建て替えにおいて一定の要件を満たして建築中である場合には、特例扱いとなる措置が設けられている自治体もあります。実際の取扱いや要件は自治体によって異なるため、年末に解体を予定している場合は事前に税務担当窓口や建築会社へご相談ください。