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No.53【塗り壁の誤解】
塗り壁の調湿効果は本当?素材を選ぶ前に知っておきたい事実とは?

こんにちは、HIKAGEの代表、日影道也です。

壁の仕上げは、間取りや設備の検討に気持ちが向く中で、意識が向きにくいテーマです。
「壁は壁紙でいいかな」と流れるご夫婦も多い一方で、「やっぱり塗り壁にしたかった」と後から気づく方もいます。壁の仕上げは、その空間の「空気感」そのものをかたちづくる要素です。

塗り壁か壁紙か。今回は、費用の差だけでは語れない、もう少し深い話を整理してお伝えします。

コテ跡を残した表情豊かな「塗り壁」と、均一で整った「ビニールクロス」の質感を比較したカット。素材によって異なる空間の雰囲気を確認できる。

この記事でわかること

  • 塗り壁と壁紙のコスト差と選択肢の本質的な違い
  • 漆喰・珪藻土が持つ調湿性能の正確な考え方
  • 壁紙が持つ、意外と知られていない現代的な機能
  • 塗り壁のメンテナンスが「意外と難しくない」理由
  • どちらが自分たちの暮らしに合うかを判断する軸

費用の差より大事なこと——塗り壁と壁紙、判断を分ける「本当の軸」

家づくりの打ち合わせが進むと、「内装の仕上げ」という話題が必ずやってきます。
その中でも「壁をどうするか」は判断に悩む場面のひとつで、塗り壁と壁紙のどちらにするかを迷われるご夫婦は少なくありません。

よくある誤解として、「塗り壁は費用が高い分だけ、あらゆる面で優れている」
と思われることがあります。ただ実際には、費用の多寡と性能の優劣は必ずしも一致しません。
「何を暮らしの中で大切にするか」によって、どちらが合っているかは変わります。

■まず費用の目安を整理しておきます。

項目壁紙(クロス)塗り壁
材料・施工コスト比較的リーズナブル壁紙の2〜5倍程度(素材・仕上げ方による)
工期への影響短い(1〜3日目安)やや長め(6〜10日目安)
デザインの自由度色・柄・機能が豊富仕上げ方によって独自の表情が生まれる
メンテナンス劣化時は張り替えが基本部分的な塗り直しが可能な場合がある
調湿性能機能性クロス(製品による)素材によって大きく異なる

この表でもわかるように、どちらかが一方的に優れているのではなく、「それぞれの特性が異なる」というのが正確な理解です。

モニターの図面やカタログを囲み、リラックスした雰囲気で住まいの詳細を相談する施主家族とスタッフ。子連れでも安心して進められる打ち合わせ風景。

進化した壁紙が持つ「調湿・消臭・デザイン」——思ったより高機能という事実

まず最初に、壁紙についてきちんとお伝えしたいと思います。

HIKAGEでは壁紙を標準仕様として採用しています。
これは「コストを優先した」のではなく、壁紙そのものに多くの方の暮らしにマッチする合理的な理由があるからです。

現代の壁紙は、ひと昔前と比べると格段に進化しています。
吸水性ポリマーを配合した「吸放湿性壁紙」は、湿度が高いときに湿気を吸収し、乾燥時には放出する機能を持ち、結露やカビの発生抑制が期待できます。消臭機能、抗菌・防カビ仕様など、機能性に配慮した製品が充実しており、住み心地にも確かな配慮がなされています。

デザインの観点からも、壁紙は色・柄・素材感のバリエーションが非常に豊富です。
空間のイメージをコントロールしやすく、アクセントクロスで一面だけ雰囲気を変えるといったトータルコーディネートとも相性が良い素材です。「標準仕様だから妥協する」のではなく、「壁紙だからこそできる演出」があることを、ぜひ知っておいてください。

落ち着いたグレーのアクセントクロスが印象的な個室。木目調のデスクやチェスト、オープンクローゼットを配した、機能的で温かみのあるインテリア。

写真では伝わらない——塗り壁が「選ばれ続ける」のは質感と、ある誤解のせい

費用が上がるとわかっていながら、塗り壁を選ぶ方が一定数いるのはなぜか。
その理由は大きく「質感」と「調湿性能への期待」にあります。
ただし、調湿については正確な理解が必要な部分があるため、丁寧に整理します。

「質感」——左官職人の手が生み出す、空間の表情

塗り壁の最大の魅力は、「実物を見ないとわからない」ものです。
左官職人が手作業で仕上げる塗り壁には、機械では生み出せない微妙な凹凸と陰影があります。
光の当たり方によって表情が変わり、朝・昼・夜とそれぞれ異なる顔を見せてくれます。

カタログや画像では伝わりにくいこの「空気感の違い」は、完成見学会などで実際に体感された方が「写真と全然違う」とおっしゃることが多い部分です。
素材感が豊かな空間は飽きが来にくく、長く住み続けても気持ちが落ち着く——これが「質感」という言葉が指しているものの正体です。

建築現場にて、左官職人がコテを使い、手作業で丁寧に「塗り壁」を仕上げていく様子。職人の技術が光るプロフェッショナルな施工風景。

「調湿」——素材によって性能は大きく異なる

塗り壁の調湿性能については、正確に理解しておきたい点があります。

調湿建材としての客観的な基準は、JIS A6909(建築用仕上塗材)に定められており、1㎡あたり24時間で70g以上の吸放湿性能が必要とされています。
素材によって性能は大きく異なり、珪藻土(けいそうど)を原料とした塗り壁材の中には、この基準をクリアする製品があります。

一方、漆喰については、現代の住宅で標準的な石膏ボード下地に1〜2mm程度の厚みで施工する場合、調湿性能は約40g程度とされており、JIS基準を下回ることが多いのが実情です。
かつての土壁下地(15〜20cm厚)とは根本的に構造が異なるため、昔の漆喰壁のイメージをそのまま現代に当てはめることには注意が必要です。

漆喰の魅力は、調湿よりも「独自の質感」「意匠性」「アルカリ性による防カビ性」にあります。
塗り壁を選ぶ際は、「何に期待して選ぶのか」を明確にした上で素材を絞り込む視点が大切です。

富山市を含む北陸地方は、年間を通じて湿度が高く、
梅雨から夏にかけてのジメジメした空気が暮らしの課題になることもあります。
室内の湿度管理を優先するなら、換気計画や断熱・気密設計との組み合わせで
対応するのが根本的な解決策です。
塗り壁や壁紙の選択は、その補完的な要素として位置づけると判断しやすくなります。

「珪藻土」と「漆喰」の質感を確認できる塗り壁サンプル。素材特有の調湿機能や、手仕事ならではの風合いを比較検討できる。

10年後に後悔しないために——塗り壁と壁紙、それぞれのメンテナンス実態

「塗り壁はお手入れが大変では」という不安の声は、打ち合わせの中でよく出てきます。
これはある意味で誤解を含んでいるので、整理しておきます。

壁紙の場合、汚れやキズが目立ってきたら「張り替え」が基本です。
部分的な修繕も可能ですが、時間が経つと既存と新しいクロスで色の差が出る場合があります。

塗り壁は素材の特性上、小さな汚れや軽微なキズであれば「上から塗り直す」という補修が可能なケースがあります。
もともと手作業で仕上げた壁であるため、部分補修の違和感が馴染みやすい側面があります。

ただし、強い衝撃を受けると割れが生じる場合があること、施工できる職人の確保が必要なこと、補修範囲によっては費用がかかることは、事前に理解しておくべき点です。

「楽なのはどちらか」ではなく、「自分たちはどんなメンテナンスを続けていけるか」という視点で考えると、選択が自然に定まります。

塗り壁に発生した小さなクラック(ひび割れ)を、専用の道具や筆を使って丁寧に補修する、メンテナンスやDIYの様子。

「どちらが正解か」ではなく、ご家族の暮らし方から答えを導くHIKAGEの視点

HIKAGEでは、壁紙を標準仕様としながら、塗り壁にも対応しています。
ご夫婦のご希望やライフスタイルに合わせて、どちらを選ぶかを一緒に考えていくというのが、私たちの基本的なスタンスです。

「LDKだけ塗り壁にして、他の居室は壁紙にする」というハイブリッドな組み合わせを選ばれる方も実際にいます。
こだわりたい空間に費用を集中させ、全体のコストバランスを保つ——注文住宅だからこそできる柔軟な選択です。

「何となく塗り壁のほうが良さそう」でも「壁紙で十分では」でもなく、「自分たちが何を大切にするか」を整理した上で選ぶこと。
その判断を一緒に整理する場が、HIKAGEのコーディネート打ち合わせです。

どちらが合っているか迷った場合は、完成見学会で実物に触れることをおすすめしています。
写真で見ているだけでは気づけない「壁の表情の違い」を、空間として体感することが、最も確かな判断材料になります。

テーブルに広げられた膨大な壁紙のカタログや、塗り壁のカラーサンプル、巾木の部材。内装のコーディネートを詳細に検討する打ち合わせのプロセス。

【まとめ】塗り壁と壁紙、選ぶ基準は「費用差」より「暮らしの優先順位」

塗り壁と壁紙のどちらが優れているかではなく、「自分たちの暮らしに何が合っているか」で選ぶことが、長く住んで満足できる空間づくりの本質です。
素材の特性・調湿性能の実態・メンテナンスの考え方・コストバランスを正確に把握した上で判断することが、選択後の後悔を防ぎます。

  • 塗り壁の調湿性能は「素材によって大きく異なる」ため、珪藻土など素材の性能を個別に確認することが重要
  • 壁紙は「機能性・デザイン性・コスト」のバランスに優れており、進化した現代製品は住み心地にも配慮されている
  • どちらか一方に決める必要はなく、空間ごとに使い分けることで注文住宅ならではの柔軟な選択が実現できる

壁の仕上げは、毎日目に入り、空間の雰囲気をかたちづくるもの。
だからこそ、「なんとなく」ではなく、ご家族の暮らし方から判断してほしいと思います。
見学会や個別相談など「実物に触れる機会」を活用しながら、自分たちらしい答えを見つけていただけたら幸いです。

内装仕上げについて、実物を見ながら考えたい方へ

完成見学会では、実際の塗り壁の質感や仕上がりを直接ご覧いただけます。
写真では伝わりにくい「壁の表情」を、ぜひ現地で確かめてみてください。
個別相談では、費用感や暮らし方に合わせた素材選びについて、具体的にお話しいただけます。

完成した対面キッチンの仕様を、工務店スタッフの説明を聞きながら確認する赤ちゃん連れのご夫婦。家づくりの喜びを感じる施主検査のシーン。

HIKAGEの施工エリアについて

HIKAGEでは、富山市を拠点に、射水市・高岡市・滑川市・上市町・立山町・舟橋村などを主な施工エリアとしております。

拠点から車で40分圏内を主な商圏としているのは、何かあったときに迅速にお伺いできる体制を維持するためです。
「建てて終わり」ではなく、住まいを長く見守り続けられる地域密着のパートナーとして、引き渡し後の暮らしも含めてサポートしてまいります。

<上記エリア以外につきましては、弊社担当までご確認ください>

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