No.62【SNSで人気のインテリア】
おしゃれな施工事例と、暮らしやすさを分けて考えたい理由
こんにちは。富山市を拠点に家づくりをお手伝いしているHIKAGEの代表、日影道也です。
元大工として現場に立ってきた経験をもとに、写真では見えにくい「暮らしやすさ」の見極め方をできるだけわかりやすくお伝えします。
SNSで見かける洗練された施工事例は、家づくりのイメージを膨らませてくれる一方で、「このまま真似すれば快適に暮らせる」とは限りません。写真では見えない動線、温熱環境、収納、視線、将来の変化まで考えることで、家はもっと暮らしやすくなります。
この記事では、施工事例を参考にするときの注意点と、見た目と住み心地を両立させる判断基準を、家づくり初心者のご夫婦にもわかりやすく整理します。最後まで読むことで、保存した画像をどう活かせばよいかも見えてきます。

SNSで人気の施工事例が、そのまま“正解の間取り”とは限らない理由
SNSの施工事例は「理想の方向性」を見つける材料にはなりますが、そのままご夫婦の正解になるとは限りません。家は写真集ではなく、毎日を過ごす場所だからです。
写真は「一瞬」、住み心地は「毎日」
InstagramやPinterestで人気の住まいは、光の入り方がきれいな時間帯に、広く見える角度で、生活感を整えた状態で切り取られていることがほとんどです。もちろん、それ自体は悪いことではありません。イメージを膨らませる上では、とても参考になります。

ただ、実際の暮らしでは、朝の身支度が重なる時間、買い物帰りに荷物を運ぶ動き、洗濯して干してしまう流れ、お子さまの支度、来客時の見え方まで含めて考える必要があります。写真では素敵に見えたアイランドキッチンでも、通路幅が足りなければすれ違いにくくなります。大きな吹き抜けも、断熱・気密・空調計画まで整っていなければ、見た目ほど快適とは感じられない場合があります。

実際にHIKAGEへご相談いただくご家族も、保存した画像をたくさん持って来てくださることが多いです。その際に私たちが大切にしているのは、「この写真のどこが好きなのか」を言葉にすることです。色味なのか、抜け感なのか、キッチンから子どもを見守れる関係性なのか。そこが整理できると、写真の表面だけを真似するのではない、ご家族の暮らしに合う形へ読み替えやすくなります。
富山の気候では、見た目以上に温熱環境が効く
富山で家を建てる場合、見た目の印象だけでなく、気候との相性を必ず見ておきたいです。気象庁の富山地方気象台の公表値では、富山市の平年値は年平均気温14.5℃、1月平均気温3.0℃、8月平均気温26.9℃、年降水量2,374.2mmとされています。冬の寒さや雪、湿気の多さ、夏の蒸し暑さまで含めると、写真映えする大開口や吹き抜けも、性能設計とセットで考えてこそ心地よさにつながります。

国土交通省の案内のとおり、2025年4月からは、原則としてすべての新築住宅・非住宅に省エネ基準適合が義務付けられています。これは家づくりにおける最低限の確認がより重要になったという意味であり、快適性まで自動的に同じになるということではありません。
これからの家づくりでは、見た目と同じくらい、断熱・気密・換気・窓計画の中身を確認する意味が大きくなっています。つまり、住み心地の差は「完成写真の華やかさ」よりも、完成後には見えにくい設計と施工の積み重ねで出やすいということです。
おしゃれと住みやすさを両立するために、先に見ておきたい判断基準
おしゃれと住みやすさは両立できます。ただし、そのためには「何を先に確認するか」の順番が大切です。見た目を選ぶ前に、暮らしの土台を整える視点を持つと、完成後の満足度が変わります。
動線と収納は「量」より「位置」と「連続性」
家づくりでよくあるのが、「収納はたくさん欲しい」というご要望です。もちろん収納量は大切ですが、実際には量以上に“どこにあるか”で使いやすさが決まります。例えば、玄関横に土間収納とコート掛けがあれば、ベビーカーや雨具を室内に持ち込みすぎずに済みます。玄関からパントリーを通ってLDKへ入れる動線なら、重い荷物の持ち運びがかなり楽になります。

共働きのご家庭では、ランドリールーム、脱衣室、ファミリークローゼットのつながりも重要です。「洗う→干す→たたむ→しまう」が一か所でまとまると、毎日の家事負担は想像以上に変わります。HIKAGEでも、玄関→洗面→LDKの動線や、キッチン中心の回遊動線、ランドリーとファミリークローゼットを隣接させる計画は特に人気があります。これは流行だからではなく、暮らしの手間を減らしやすいからです。

窓・断熱・換気は、見た目を支える土台
写真で見たときの明るさや開放感は、窓の大きさだけでは決まりません。窓の向き、外からの視線、冬に日射を取り込めるか、夏の日差しを遮れるか、そして窓そのものの性能まで含めて考える必要があります。断熱性能を示すUA値、隙間の少なさを示すC値、換気方式、窓種は、見た目の印象を快適さに変えるための基礎です。
HIKAGEでは、ご家族の健康と快適さを守るため、断熱等性能等級6(UA値0.46基準)、C値0.5以下の高気密設計、第一種換気システムを標準仕様としています。窓には、トリプルガラスと樹脂フレームで世界トップクラスの断熱性能を持つYKK APの「APW 430」を採用するなど、数値のための数値ではなく、冬の足元の冷えや夏の熱気を抑え、長く心地よく暮らすための考え方として位置づけています。

素材と外観は、将来の手入れまで含めて考える
外観や内装の素材選びでは、新築時の見栄えだけでなく、5年後、10年後の手入れも見ておきたいです。ガルバリウム鋼板の外壁や屋根は、シャープな見た目とメンテナンス性のバランスが取りやすい一方で、周囲の景観との相性も大切です。無垢床や造作家具も空間の質を高めてくれますが、傷のつき方や掃除のしやすさまで含めて確認すると、完成後のギャップを減らしやすくなります。

さらに、住みやすさは性能だけでなく構造や品質管理にも支えられます。HIKAGEでは耐震等級3を前提に構造設計を行い、第三者検査機関による厳格な品質検査を導入しています。見えなくなる工程こそ重視する姿勢は華やかな写真には写りませんが、住み始めてからの安心感に直結しやすい部分です。
施工事例を見るときに、実際に確認したい5つのポイント
施工事例を見るときは「きれいだった」で終わらせず、確認ポイントを決めて見ることが大切です。写真・見学会・打ち合わせのどれでも使いやすいように、最低限押さえたい視点を5つに整理します。
- 性能の数値:UA値、C値、換気方式、窓の仕様はどうか。
- 安全性と品質:耐震等級、構造計算、第三者検査の有無はどうか。
- 動線:買い物、洗濯、朝の支度、来客時の動きは無理がないか。
- 収納の配置:使う場所の近くに、必要な物がしまえるか。
- 将来の変化:子どもの成長、働き方、部屋の使い方の変化に対応できるか。
数字で確認したいポイント
住み心地に関わる内容は、雰囲気だけでは比べにくいので、数字や仕組みで確認しておくと判断しやすくなります。たとえば、UA値は外皮の断熱性能を示す指標、C値は住宅の隙間の少なさを示す指標として使われます。ただし、数値は単独で見るのではなく、換気計画、窓の取り方、日射取得や遮蔽、間取りとのバランスを含めて確認することが大切です。
もうひとつ見落としやすいのが、標準仕様とオプションの境界です。施工事例では素敵に見えた照明計画や造作家具が、どこまで標準でどこから追加なのかは会社によって異なります。見た目だけを見て予算感を判断すると後で差が出やすいため、ここは早めに確認しておくと安心です。
暮らしの場面で確認したいポイント
見学会では、ぜひ「自分たちならどう動くか」を具体的に想像してみてください。玄関に入ってから手洗いまで遠くないか、キッチンからリビングや畳スペースにいる子どもへ目が届くか、洗濯物を持って2階へ何度も往復しなくて済むか。こうした確認は、図面より実際の空間で行うほうがわかりやすいです。
また、人気の吹き抜け階段や中庭とつながるLDK、平屋などは、とても魅力的です。その一方で、冷暖房の効き方、音の伝わり方、外からの視線、掃除のしやすさまで合わせて見ておくと、憧れがより現実的な判断材料になります。

迷ったときは、理想の画像集より“判断基準のメモ”をつくる
施工事例を見すぎて迷ってきたときほど、画像を増やすより「自分たちの優先順位」を整理するほうが前に進みやすくなります。家づくりは、情報量より判断軸のほうが大切です。
ご夫婦で先に揃えたい項目
おすすめなのは、ご夫婦で次の3つに分けてメモすることです。
ひとつ目は「必ず叶えたいこと」。
ふたつ目は「できれば欲しいこと」。
三つ目は「なくても困らないこと」です。
ここが整理できると、予算配分や優先順位がかなり明確になります。特に注文住宅では、要望を増やすこと自体は難しくありません。難しいのは、限られた予算の中で何を残し、何を整理するかです。
HIKAGEでは、打ち合わせの中でご要望を細かく分解し、「見た目として欲しい」のか、「暮らしの不満解消として必要」なのかを一緒に整理するようにしています。
見学会や相談で聞いておくと整理しやすいこと
見学会や個別相談では、「この家で夏の日差しや冬の寒さにはどう対応していますか」「将来、家族構成が変わったときにどう使えますか」といった質問をしておくと判断しやすくなります。
また、完成見学会だけでなく、構造見学会やOB宅見学会もおすすめです。完成見学会では空間の広がりや動線を、構造見学会では見えなくなる性能と施工品質を、OB宅見学会では住んでからのリアルな使い勝手や光熱費を確認しやすくなります。

現在、国の『住宅省エネ2026キャンペーン』および新築向けの『みらいエコ住宅2026事業』の案内が公開されています。対象要件、受付期間、予算上限、併用可否は住宅区分や事業区分によって異なります。また、富山市などの自治体支援制度(公共交通沿線住宅取得支援事業等の旧制度含む)についても見直しが行われる場合があるため、計画時は公式情報の個別確認が必要です。
本記事のまとめ
SNSで人気の施工事例は、家づくりの方向性を見つけるうえでとても役立ちます。ただし、住み心地は写真の印象だけでは判断できません。動線、収納の配置、断熱・気密・換気、窓計画、耐震や品質管理、将来の暮らし方まで含めて見たときに、初めて「自分たちに合う家かどうか」が見えてきます。
大切なのは、施工事例を上手に使うことです。好きなテイストや空間の雰囲気は素直に参考にしながら、その背景にある暮らしや条件まで読み解いていくこと。そうすることで、見た目だけで終わらない、長く心地よく暮らせる家づくりに近づきやすくなります。
HIKAGEの施工エリアについて
HIKAGEでは、富山市を中心に、射水市・高岡市・滑川市・上市町・立山町・舟橋村など、事務所から車で40分圏内を主な施工エリアとして家づくりのご相談を承っています。
「保存した画像はたくさんあるけれど、何が自分たちに合うのか整理できない」という段階でも大丈夫です。個別相談、家づくり勉強会、完成見学会、構造見学会、OB宅見学会などを通じて、まずは情報収集から進めていただけます。ご質問だけでも構いませんので、気になる点があればお気軽にお問い合わせください。
引用元・参照元
- 国土交通省「住宅:建築物省エネ法のページ」
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/shoenehou.html - 気象庁 富山地方気象台「富山県の気象」
https://www.data.jma.go.jp/toyama/bosai/tokusei.html - 住宅省エネ2026キャンペーン【公式】
https://jutaku-shoene2026.mlit.go.jp/ - みらいエコ住宅2026事業【公式】
https://mirai-eco2026.mlit.go.jp/ - 富山市公式ウェブサイト「住宅政策課からのお知らせ」
https://www.city.toyama.lg.jp/kurashi/sumai/1010267/1010269/1011330/1006644.html - 富山市公式ウェブサイト「まちなか・公共交通沿線中古住宅取得等支援事業」
https://www.city.toyama.lg.jp/kurashi/sumai/1010267/1018274/1018275/1018276.html - YKK AP株式会社「APW 430」
https://www.ykkap.co.jp/consumer/products/window/apw430
※本記事は2026年5月末確認時点の情報です。制度内容や受付状況は変更される場合があります。
よくあるご質問(FAQ)
Q. SNSの施工事例は、どこまで参考にしてよいですか?
好みのテイストや空間の雰囲気を共有する材料としてはとても有効です。ただし、敷地条件や家族構成、予算、性能計画が違えば、そのまま採用すると合わない場合があります。「何が好きなのか」を整理してプロと相談する際のベースとして活用するのがおすすめです。
Q. おしゃれな家にすると、住みにくくなりますか?
必ずしもそうではありません。動線、収納の位置、断熱・気密・換気、将来のメンテナンス性を先に整えたうえでデザインを検討することで、見た目と毎日の住みやすさは十分に両立できます。
Q. 施工事例を見るとき、最低限確認したい数字はありますか?
断熱性能を示すUA値、気密性能を示すC値、耐震等級などは確認しておくと安心です。ただし、数値だけでなく、換気計画や窓の配置など家全体のバランスを含めて確認することが大切です。
Q. 完成見学会と構造見学会は、どちらを優先すべきですか?
どちらも役割が異なります。完成見学会は広さや家事動線などの暮らしのイメージを体感しやすく、構造見学会は完成後に隠れてしまう断熱材や施工品質を確認できる場です。可能であれば両方をご覧いただくことで、より納得のいく判断がしやすくなります。
Q. まだ間取りなどのイメージが固まっていなくても相談して大丈夫ですか?
はい、もちろん大丈夫です。家づくりの初期段階では、ご要望が曖昧なのは自然なことです。相談や見学を通じて、ご家族にとって大切な暮らし方の優先順位が少しずつ整理されていくことも多いため、まずはお気軽にご相談ください。