No.72【親から土地をもらう】
知っておきたい手続きの流れと後悔しないための注意点とは?
こんにちは。富山市の工務店、HIKAGEの代表の日影道也です。
ご実家の敷地や親御様が所有されている土地を譲り受けて家を建てる計画は、土地の購入費用を大幅に抑えられる大きなチャンスです。
20代から30代の子育て世帯のご夫婦からも、浮いた土地予算を建物の性能向上や、これからの大切なお子様の教育費、日々の生活のゆとりへと回せるという理由で、近年よくご相談をいただいています。
しかし、親子の間柄であっても、法律や税金の手続きを正しく進めないと、思わぬ課税や将来の親族間のトラブルにつながることがあります。
この記事では、親から土地をもらう際の手続きや注意点を分かりやすく解説し、安心して家づくりを進めるための判断材料をご提示します。

親から土地をもらう方法の結論とそれぞれの特徴
親御様から土地の提供を受けて家を建てる場合、まずは「どのような形式で土地を譲り受けるか、あるいは借りるか」を決める必要があります。
選択する方法によって発生する税金の種類や手続きの時期が大きく異なるため、ご家族のライフステージや将来の計画にとって最適な選択肢を見極めることが大切です。
主な方法としては、次の3つの選択肢が挙げられます。
1. 生前に無償で譲り受ける「贈与」
生きているうちに土地の名義を親から子へ変更する方法です。
【メリット】
家づくりの計画に合わせて確実に土地を自分のものにできるため、建築後の権利関係がすっきりします。
自分の名義になることで、住宅ローンの手続きがスムーズに進みやすく、将来にわたって財産の所有権が明確であるため、精神的な安心感も得られます。
【デメリット】
土地という大きな価値を持つ資産が動くため、贈与税の対象になりやすいという側面を持っています。
特に、何も対策を講じずに名義変更だけを行うと、思わぬ高額な税負担が生じる場合があるため注意が必要です。

2. 将来的に引き継ぐ「相続」
親御様が亡くなられた際に、遺産として土地を受け取る方法です。
家を建てる段階では土地の名義変更を行わず、将来のその時を迎えた際に初めて手続きを行います。
【メリット】
相続税は贈与税に比べて基礎控除額が大きく設定されており、税金負担を抑えられるケースが多いとされています。
【デメリット】
この方法は「将来、本当に自分がその土地を単独で相続できるか」という不確定要素が残ります。
もしご兄弟や姉妹がいらっしゃる場合は、将来の遺産分割協議の際に話し合いが難航することもあり、事前の家族間での合意形成が欠かせません。
3. 名義は親のまま無償で借りる「使用貸借」
土地の名義は親御様のまま変更せず、地代を支払わずに家だけを建てさせてもらう方法です。
親子間での家づくりでは非常に一般的であり、よく選ばれる進め方でもあります。
【メリット】
法律上、地代のやり取りがない親族間の貸し借り(使用貸借)においては、子どもに贈与税がかからない仕組みになっています。
名義が変わらないため、建築前の土地に関する手続きは最もシンプルです。
【デメリット】
名義変更を伴わないということは、将来的にその土地を誰が相続するのかという問題を先送りにすることでもあります。
数十年後に相続が発生した際の計画まで見据えておく必要があります。
土地をもらう際に発生する可能性のある税金と特例制度
親から土地をもらう、あるいは借りて家を建てる場合、避けて通れないのが税金のお話です。
知らずに進めてしまうと、後から想定外の納付書が届いて、せっかく緻密に組んだ資金計画が崩れてしまうこともあります。
贈与税の仕組みと負担を軽減する特例
土地を無償でもらうと、原則として「贈与税」の対象になります。
通常の贈与(暦年課税)では、年間110万円の基礎控除がありますが、富山市内やその周辺エリアであっても、一定の広さがある土地の価値は数百万円から数千万円になることが多いため、そのままでは高額な税金がかかる可能性が高くなります。
そこで検討したいのが、国の定めている特例制度「相続時精算課税制度」の活用です。
- 原則として60歳以上の父母や祖父母から、18歳以上の子や孫に財産を贈与する場合に選択できる制度です。
- 累計2,500万円までの贈与にはその時点で贈与税がかからず、将来相続が発生したときに、その贈与財産の価額と他の相続財産を合算して相続税を計算します。
- 2024年(令和6年)1月1日以降の贈与から、この制度を選んだ場合でも毎年110万円までは基礎控除として税金がかからず、将来の相続時にも持ち戻して計算する必要がないというルールが加わりました。
※ただし、一度この制度を選択すると、その親御様からの贈与については以降、通常の暦年課税に戻すことができません。
また、この制度を使って贈与を受けた土地については、将来の相続時に「小規模宅地等の特例(一定の要件を満たすことで評価額を最大80%減額できる特例)」が使えなくなる点も重要な注意事項です。
ご家族の財産状況によってどちらが有利かは大きく異なりますので、必ず税理士などの専門家にご相談の上、総合的に判断されることをおすすめします。

不動産取得税と登録免許税の取り扱い
土地の名義を変更(登記)する際には、国に納める「登録免許税」や、都道府県から課される「不動産取得税」が発生します。
- これらは、譲り受けた方法が売買ではなく無償の「贈与」であっても支払う義務が生じます。
- 登録免許税は土地の固定資産税評価額に一定の税率をかけて計算され、不動産取得税も同様に評価額をベースに算出されます。
- ただし、新築する住宅の床面積や、その家が有する省エネ性能(長期優良住宅やZEHなど)の条件を満たすことで、土地・建物それぞれに対して大きな軽減措置が適用される場合があります。
自社で建てる家がどの軽減条件に該当するか、事前に住宅会社に確認しておくと安心です。
毎年の固定資産税の負担者は誰になるか
土地を所有していると、毎年春頃に「固定資産税・都市計画税」の納税通知書が届きます。
土地の名義状況によって、次のように取り扱いが異なります。
- 土地の名義を子どもに変更した場合:翌年からは子どもがその土地の納税義務者となります。
- 名義を変更せず「使用貸借」で借りている場合:納税通知書は引き続き親御様のもとに届きます。
名義が親のままであっても、実際にその土地を使って暮らすのは子ども世帯であるため、毎年の税金をどちらが実質的に負担するか、あるいはどのように折半するかをあらかじめ家族間で明確に話し合っておくことで、日々の小さないき違いを防ぐことができます。
親からの土地提供で家を建てる場合の4つの注意点
土地代がかからないという大きな経済的メリットがある一方で、事前の確認不足や関係者間の認識のズレによって、計画が途中で止まってしまうケースも少なくありません。
必ず確認しておきたい4つの実務的な注意点をご紹介します。
1. 他の法定相続人(ご兄弟など)との不公平感の解消
最も慎重に、かつ誠実に進めたいのが、ご兄弟や姉妹といった他の法定相続人への配慮です。
親御様の資産の中で土地が占める割合が大きい場合、特定の子どもだけがその土地をもらってしまうと、将来の相続時に親族間での不公平感からトラブルに発展することがあります。
お互いを思いやる気持ちがあるからこそ、お金の話がしづらく、後から問題が表面化しやすい部分でもあります。
あらかじめ親御様が元気なうちに、将来の財産分与についてご家族内でオープンに、かつ穏やかに話し合っておくことが、次世代まで引き継げる安心な家づくりの第一歩となります。

2. 住宅ローンの借入と土地への「担保設定」
家を建てるために多くのご家族が住宅ローンを利用されますが、金融機関は融資を行う際、建物だけでなく、その建物が建っている「土地」にも抵当権(担保)を設定することを原則としています。
もし土地の名義を親御様のままにして家を建てる場合、親御様に土地の所有者として「物上保証人」になってもらう必要があります。
これには、「もし子どものローンの返済が滞った場合、この土地が競売にかけられる可能性がある」というリスクを親御様自身が理解した上で、同意と署名・捺印をすることが求められます。
ローンの審査段階になって親御様が驚かれることがないよう、初期段階で丁寧に説明し、理解を得ておくことが大切です。
3. 土地の法的な規制(農地転用や市街化調整区域の確認)
譲り受ける予定の土地が、どのような法律や都市計画の規制を受けているエリアなのかを正確に把握することは極めて重要です。
- 地目が「農地(田や畑)」である場合:そのままでは家を建てることができません。農業委員会を介して「農地転用」という許可や届出の手続きを行う必要があり、これには数ヶ月単位の時間と一定の申請費用がかかります。
- 「市街化調整区域」にある場合:原則として建物の建築を抑制しているエリアであるため、一定の要件を満たした場合でなければ建築許可が下りないなど、厳格な調査が必要になります。
図面を計画する前に、その土地の法的なステータスを確認することが必須です。

4. 敷地内同居におけるプライバシーと距離感の確保
親御様が住むご実家の広い敷地の一角や、すぐ隣の敷地に新しく家を建てる「敷地内同居」の場合、図面の上だけでは見えてこない「暮らし始めてからの視線や生活音」への配慮が不可欠です。
たとえば、次のような小さなお悩みが、毎日のストレスに繋がることがあります。
- キッチンの窓を開けたらご実家のリビングと目が合ってしまう
- お互いの駐車スペースが干渉していて車の出し入れのたびに気を遣う
- 勝手口の位置が近く、お互いの生活ゴミの出し入れが見えてしまう
HIKAGEでは、光や風の入り方を計算するのと同時に、道路や隣家、そしてご実家からの視線をコントロールする「環境設計」を取り入れています。
高窓を活かした採光設計や、外からの目線を自然にさえぎる壁・配置計画を組み合わせることで、お互いのプライバシーを大切にしながら、程よい距離感で心地よく暮らせる住まいをご提案しています。

後悔しない家づくりのために「今すぐできる行動」と進め方のコツ
親から土地をもらえる見込みが立ち、家づくりの輪郭が見えてきたら、具体的にどのような手順で進めるべきでしょうか。
スムーズに理想の住まいを形にするための判断プロセスをご紹介します。
ステップ1:土地の現状(インフラ・境界)を正確に把握する
まずはその土地の「図面」や「権利関係」が分かる書類(登記事項証明書や公図など)をご家族で確認します。
それと同時に大切なのが、現地の物理的な状態の確認です。
- 隣の土地との「境界杭」が曖昧になっていないか
- 水道の引き込み管が細すぎて、新しい家では水圧が足りなくならないか(道路から引き込み直す必要があるか)
これらのインフラ整備や土地の造成にかかる費用は、時には数百万円規模になることもあり、「土地代がかからないから」と油断していると予算を大きく圧迫します。
まずは現状を正しく知ることから始めましょう。

ステップ2:家族全員で長期的な資金計画を共有する
土地の購入費用がかからない分、建物の仕様やデザインにこだわりたくなるのは自然なことです。
しかし、だからこそ総予算の全体像を最初に見誤らないようにする必要があります。
- 建物本体の価格
- 付帯工事費や諸費用、外構工事、家具家電の購入費
- 長期保証に連動する定期点検やメンテナンス費用
- 毎年の固定資産税を含めたランニングコスト
これらを前提に計画を立てることが大前提です。
また、親御様がこれからのライフステージで必要とされる資金(リフォームや老後の医療・介護費用など)も念頭に置き、家族全体で無理のない資金の配分を共有しておくことが、建てた後の本当の安心に繋がります。
ステップ3:建築と不動産のプロに初期段階で相談する
税金の特例や土地の法的な規制、インフラの状況などは、専門知識がない状態での自己判断がとても難しい分野です。
そのため、間取りの要望を細かく決めてしまう前に、土地に関する書類や現地の写真を持って、建築と不動産の両方の視点を持つ住宅会社に相談することをおすすめします。
HIKAGEでは、最新の土地一括管理システム「土地バンク」を活用して、単に売りに出されている土地の情報を追うだけでなく、お預かりした土地の過去の履歴や希望エリアの相場感をしっかりと見極めます。
その上で、次のポイントを建築の視点から評価します。
- その土地の特性を活かして、どのような配置にすれば最も心地よい光が入り、プライバシーを守れるか
- 総額でいくらの費用(インフラ整備や造成費など)が見込まれるか
初期段階でリスクや必要な費用を可視化することで、迷いを減らし、納得して家づくりを進めることができます。

この記事のまとめ
親から土地を譲り受けて家を建てることは、これからの暮らしの安心と予算のゆとりを生み出す上で、非常に有意義な選択肢です。
ただし、そのメリットを最大限に活かすためには、次の3つの土台が欠かせません。
- 贈与や相続に関する正しい税知識(特例制度の適否は個別状況によって異なります)
- ご兄弟も含めたご家族間での誠実な話し合い
- 土地特有の法的規制やインフラの事前確認
大切なのは、完成して終わりではなく、何十年先もその土地と住まいでご家族全員が笑顔で安心して暮らし続けられる仕組みを、最初の計画段階で丁寧につくっておくことです。

私たちHIKAGEは、富山市を中心とした地域に密着し、一棟一棟の品質を大切にする丁寧な家づくりを行っています。
お預かりした土地の特性を最大限に活かす「自由設計」の強みを活かしながら、お客様が住み始めてからもずっと安心が続く体制を整えています。
現場管理においては、自社による厳格な施工管理チェックを徹底。
さらに、完成後には見えなくなってしまう構造や防水などの重要工程を中心に、第三者検査機関「株式会社家守り」による客観的な全工程検査を導入しています。
これらの検査結果や施工中の様子は、写真付きの「現場検査報告書」として詳細に記録・長期保管し、お引き渡し後も住まいの確かな品質の証明としてご活用いただける仕組みを整えています。

引用元・参照元
- ・国税庁「No.4402 贈与税がかかる場合」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4402.htm - ・国税庁「No.4102 相続税がかかる場合」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4102.htm - ・国税庁「No.4302 相続時精算課税の選択」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4302.htm - ・国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124.htm - ・国土交通省「不動産取得税に係る特例措置」
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000020.html
※本記事は2026年6月時点の情報をもとに作成しています。
税制や制度の内容は法改正・個人の状況によって変更・相違が生じる場合があります。
具体的な税額や制度の適用については、必ず税理士・税務署・各都道府県の窓口へご確認ください。
よくある質問<FAQ>
Q1. 親の土地に家を建てる場合、名義変更は必ずしなければいけませんか?
A. 必ずしも名義を変更する必要はありません。「使用貸借(無償で借りる)」という形式をとれば、土地の名義は親御様のままで、建物だけを子ども名義にして建てる法律上の選択が可能です。この場合、土地の贈与税はかかりませんが、将来的に親御様の相続が発生した際、その土地を誰がどのように引き継ぐかを、あらかじめご兄弟などを含めたご家族間で話し合っておくことが強く推奨されます。
Q2. 敷地内同居で家を建てる場合、水道の引き込みなどはどうなりますか?
A. ご実家の敷地内であっても、既存の水道メーターから単に分岐して利用できるケースと、新築する建物の規模や同時使用時の水圧を考慮して、道路の配水管から新しく水道管を引き込み直さなければならないケースがあります。地中の配管状況や自治体の規定によって工事内容が異なり、数十万円以上の追加費用が発生する場合があるため、設計の初期段階で現地の専門的な調査が必要です。
Q3. 相続時精算課税制度を使うと、本当に税金は安くなりますか?
A. この制度を利用すると、生前贈与時の税負担を累計2,500万円までゼロに抑えることができますが、これは税金が「免除」されるわけではなく、将来相続が起きたときにその贈与財産の価値を他の遺産と合算して「まとめて相続税として計算する」という仕組みです。将来の遺産総額が相続税の基礎控除額の枠内に収まる場合は結果として節税になることがありますが、この制度を使って贈与した土地は「小規模宅地等の特例」が使えなくなる点にも注意が必要です。親御様の資産状況や他の相続人の有無によって適否が大きく異なりますので、必ず税理士へ事前にご相談ください。
Q4. 兄弟に確認せずに親から土地を譲り受けても、手続き上は問題ありませんか?
A. 法律上および登記の手続き上は、土地の所有者である親御様と、譲り受けるご本人の双方が同意していれば進めることができます。しかし、他にご兄弟や姉妹がいらっしゃる場合、事前の共有がないまま進めると、将来の相続時に不公平感から重大な親族間トラブルに発展するリスクが非常に高くなります。末永く安心して心地よく暮らすためにも、計画の段階で事情を丁寧に話し、家族間での理解と納得を得てから進めることが大切です。
HIKAGEの施工エリアについて
弊社では、富山市を中心に、射水市、高岡市、滑川市、上市町、立山町、舟橋村を主な施工エリアとしております。
事務所からお車で40分圏内の、万が一の際にも迅速に駆けつけられる距離を大切にし、一棟一棟に手厚いサポートが行き届く丁寧な施工体制を整えております。対応エリアの特性や、詳しい生活圏・相場感などについてご質問がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
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