No.77【つけっぱなしが正解?】
賃貸と高性能住宅で違う、エアコンの上手な使い方の考え方とは?
こんにちは。富山市の工務店、HIKAGE代表の日影道也です。
家づくりのご相談の中で、「エアコンの電気代が心配」というお声をよくいただきます。
これから夏本番を迎える時期、賃貸だから設備を変えられないと感じているご夫婦も多いのではないでしょうか。
実は、エアコンの使い方には共通の基本ルールがあり、賃貸住まいの方でも、戸建てや高性能住宅にお住まいの方でも、少しの工夫で快適さと省エネを両立できます。
この記事では、メーカー公式情報をもとに、住まいのタイプ別に実践しやすい使い方を整理してご紹介します。

賃貸でも戸建てでも共通するエアコンの基本ルール
エアコンの使い方には、住まいの種類にかかわらず共通する基本があります。
まずはこの土台を押さえておくことが、電気代の節約と快適さの両立につながります。
自動運転を活用し、こまめなオン・オフは避ける
ダイキン工業の公式情報によると、エアコンがもっとも多くの電力を消費するのは、電源を入れてから設定温度に近づくまでの間です。
設定温度に到達したあとは、室温を維持するための電力はそれほど大きくありません。
そのため、少し部屋を離れる程度であれば電源を切らず、つけたままにしておくほうが、かえって電気代を抑えられる場合があります。
頻繁にオン・オフを繰り返す使い方は、節約のつもりが逆効果になることもあるとされています。
風量についても誤解されやすいポイントです。
電気代を気にして弱風にする方もいますが、ダイキンの解説では、風量は自動設定にしておくことが推奨されています。
自動運転であれば、部屋が冷えるまでは強めの風で一気に温度を下げ、冷えたあとは風量を弱めて効率よく室温を保つよう、エアコン自身が調整してくれます。

「冷房28度」は設定温度ではなく室温の目安
「冷房は28度に設定すればいい」という話を耳にすることがありますが、これは正確には「室温を28度程度に保つ」という目安であり、エアコンの設定温度そのものを指しているわけではありません。
環境省が推進するクールビズでも、目安とされているのは室温であり、設定温度ではないと説明されています。
設定温度を28度にしても、日射や外気の影響で室温がそれ以上になっているケースもあるため、体感に応じて無理のない範囲で調整することが大切です。
あわせて、熱中症警戒アラートなどの情報も参考にしながら、我慢しすぎない室温管理を心がけていただくことも、環境省の呼びかけのなかで触れられています。

夜間の使い方についても、家族で意識しておきたいポイントがあります。
就寝中に冷房を切ってしまうと、明け方に室温が上がって寝苦しさを感じたり、逆に暑さで目が覚めてしまったりすることがあります。
タイマー機能や自動運転を活用し、一定の室温を緩やかに保つことで、電気代を抑えながら安眠につなげやすくなります。
特に小さなお子さまや高齢のご家族がいるご家庭では、就寝中の室温変化が体調に影響しやすいため、こまめなオン・オフよりも、ゆるやかな連続運転のほうが向いている場合があります。
フィルター掃除と湿度コントロール
また、フィルターの汚れは冷房効率を大きく低下させる要因のひとつです。
ダイキンの公式サイトでも、2週間に1度を目安にフィルターを掃除すること、室外機の吹き出し口をふさがないこと、室外機を直射日光から守ることなどが、節電のポイントとして紹介されています。
これらは賃貸・戸建てを問わず、今日からできる基本の工夫です。

もうひとつ見落とされがちなのが「湿度」の存在です。
ダイキンの解説によると、同じ室温28度の部屋であっても、湿度が違うだけで体感の涼しさは大きく変わるとされています。
設定温度を下げるより先に、除湿(ドライ)機能を活用して湿度を整えるほうが、冷えすぎを防ぎながら快適さを得やすい場合があります。
特に梅雨時期や、蒸し暑さを感じやすい富山のような内陸性の気候では、温度だけでなく湿度にも意識を向けることが、電気代を抑えながら快適に過ごすコツといえます。
賃貸住まいの方が今日からできる工夫
賃貸住まいの場合、エアコン本体や窓、断熱材を自由に変更することは難しいものです。
しかし、設備を変えなくても工夫できることは数多くあります。
サーキュレーターとの併用で温度ムラを解消
まず有効なのが、サーキュレーターや扇風機との併用です。
冷たい空気は下に、暖かい空気は上にたまる性質があるため、エアコンだけでは部屋全体に冷気が行き渡りにくいことがあります。
ダイキンの解説でも、エアコンの対角線上にサーキュレーターを置き、空気を循環させることで、温度ムラを減らし効率よく部屋を冷やせるとされています。
設定温度を下げるより先に、まず風の巡りを整えることを意識してみてください。

窓まわりの遮熱対策と換気のタイミング
窓まわりの工夫も効果的です。
厚手のカーテンや遮熱・断熱シートを活用すると、日射による室温上昇をやわらげることができます。
賃貸物件でも取り付けやすいタイプの遮熱シートやカーテンは多く販売されているため、退去時に原状回復しやすいものを選ぶと安心です。

帰宅直後にエアコンをつける際は、いきなりスイッチを入れるのではなく、まず窓を開けて室内にこもった熱気を外に逃がすことがすすめられています。
対角線上にある2か所の窓を開けると、空気の通り道ができて効率よく熱を排出できます。
そのうえでエアコンを運転させることで、無駄な電力を使わずに済みます。
なお、賃貸物件では、備え付けのエアコンが古い機種であることも珍しくありません。
古い機種は自動運転の精度や省エネ性能が現行モデルに比べて劣る場合があるため、フィルター掃除や風向き調整といった基本の工夫を、より意識的に行うことが電気代の差につながりやすくなります。
設備を変えられないからこそ、日々の使い方の工夫が効果を発揮しやすいともいえます。
戸建て・高性能住宅にお住まいの方に知っておいてほしいこと
戸建てや高断熱・高気密の住宅にお住まいの方には、賃貸とは異なる考え方が有効になる場合があります。
高断熱・高気密住宅では「つけっぱなし」が向いていることも
高断熱・高気密な住宅は、外気の影響を受けにくく、室内の温度を一定に保ちやすいという特徴があります。
そのため、こまめにオン・オフを繰り返すより、穏やかな運転で長時間つけっぱなしにするほうが、結果的に消費電力を抑えやすいとされる考え方があります。
断熱性能が低い住まいでは、せっかく冷やした空気がすぐに逃げてしまうため、エアコンが常に頑張って冷やし続ける必要がありますが、断熱性能が高いほど、少ない運転で室温を維持しやすくなります。

24時間換気システムとの付き合い方
換気システムとの関係にも注意が必要です。
近年の高性能住宅では、24時間換気システムが標準的に採用されていますが、換気による空気の入れ替えは、室内の温度にもわずかに影響します。
全熱交換型の換気システムを採用している住宅では、排気の熱を回収して給気に伝えることで、外気を室温に近づけてから取り込む仕組みになっているため、冷房効率への影響を抑えやすいとされています。

ただし、この効果は住宅の気密性とセットで発揮されるものです。
気密性を示すC値が高い(すき間が多い)住宅では、計画された経路以外からもすき間風が出入りしやすく、熱交換の効果が十分に得られない場合があるとされています。
お住まいの換気方式や気密性能がどの程度かは、建てた住宅会社や設備の取扱説明書で確認しておくと安心です。
部屋ごとの温度差とエアコンの配置計画
また、高性能住宅であっても、部屋ごとの温度差が気になることがあります。
リビングは快適でも、2階の個室だけ暑いといったケースです。
これは、エアコンの設置場所や台数、間取りとの相性によって生じることがあるため、新築時にはどの部屋にどれくらいの能力のエアコンを、どのように配置するかを、設計段階から考えておくことが望ましいといえます。

家づくりの現場でも、「せっかく高断熱・高気密の家を建てたのに、賃貸時代の感覚のままエアコンをこまめに消してしまい、思ったより快適さを実感できていない」というお声を伺うことがあります。
高性能な住まいほど、無理に我慢して節電するよりも、穏やかな運転を継続するほうが結果的に快適で経済的な場合が多いため、住まいの性能に合わせて使い方を見直していただくことをおすすめしています。
これから家を建てる方が知っておきたい、エアコンと断熱・気密性能の関係
これから家づくりを検討されている方にとって、エアコンの使い方は、住宅の断熱性能や気密性能と切り離せないテーマです。
UA値・C値とエアコン効率の関係
断熱性能を示す指標のひとつに「UA値」があります。
これは住宅から熱がどれくらい逃げやすいかを表す数値で、数値が小さいほど熱が逃げにくく、少ない冷暖房エネルギーで室温を保ちやすい住まいになります。
同様に「C値」は住宅の気密性、つまりすき間の少なさを示す指標で、こちらも数値が小さいほど気密性が高いとされています。
断熱と気密は、どちらか一方だけでは十分な効果を発揮しにくく、両方をバランスよく高めることが、冷暖房効率の向上につながると考えられています。
住宅性能を高めることは、エアコン1台あたりの負担を減らし、電気代の抑制にもつながる可能性があります。
ただし、実際の光熱費は、住宅の性能だけでなく、家族の人数や生活時間帯、契約している電力プランなど、さまざまな条件によって変わります。
そのため、性能値だけで一律に「必ず安くなる」と言い切ることはできない点にも注意が必要です。
近年は、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)やHEAT20といった省エネ性能に関する基準・指標も広く知られるようになりました。
これらは、断熱性能や設備の省エネ性を評価するひとつの目安として活用されており、住宅会社を選ぶ際の判断材料のひとつになります。
ただし、基準を満たしているかどうかだけでなく、実際の間取りや窓の配置、日射の取り込み方によっても体感の快適さは変わってくるため、数値と合わせて、実際の暮らし方をイメージしながら確認していくことをおすすめします。
エアコンの台数・配置は設計段階からの検討がおすすめ
家づくりの現場でよくいただくご相談のひとつに、「エアコンは何台つければいいのか」「どの部屋に設置すればいいのか」というものがあります。
これは間取りや窓の配置、断熱性能によって最適解が異なるため、プラン段階で設計担当と一緒に検討していくことが大切です。
単に「性能の高いエアコンを選ぶ」だけでなく、住まい全体の断熱・気密性能とセットで考えることで、日々の使い勝手や電気代に差が出てきます。

さらに、24時間換気システムとの組み合わせ方も、家づくりの初期段階で確認しておきたいポイントです。
全熱交換型の換気システムを採用する場合、換気による室温への影響を抑えやすくなるとされていますが、機種や設置計画によって効果の出方は異なります。
契約前の打ち合わせでは、断熱・気密性能の数値だけでなく、実際にどのような換気・空調計画になるのかを具体的に確認しておくと、住み始めてからのギャップを減らしやすくなります。
※本記事は確認時点(2026年7月)の情報です。制度や省エネ基準、機器の仕様などは変更される場合がありますので、最新の情報はメーカー公式サイトや関係省庁のホームページでご確認ください。
この記事のまとめ
エアコンの使い方には、住まいの種類を問わず共通する基本と、賃貸ならではの工夫、そして戸建てや高性能住宅だからこそ生きる考え方があります。
自動運転を活用し、フィルターや室外機の環境を整えることは、どなたにもすぐに実践いただける工夫です。
そのうえで、賃貸の方はサーキュレーターや窓まわりの対策を、戸建てや高性能住宅の方は住宅性能を生かした運転方法を意識してみてください。
これから家を建てる方にとっては、エアコンの使い方だけでなく、断熱・気密性能を含めた住まいづくり全体で考えることが、長い目で見た快適さと省エネにつながっていきます。
引用元・参照元
- ダイキン工業株式会社「DAIKINストリーマ研究所 暖房の設定温度は何℃が理想?」
https://www.daikin-streamer.com/article/020.html - ダイキン工業株式会社「エアコン節電情報(空気とくらし)」
https://www.daikin.co.jp/air/life/electricitysaving - ダイキン工業株式会社「mission2 冬の節電『エアコン暖房の上手な使い方』」
https://www.daikin.co.jp/air/life/issue/mission02/page02 - ダイキン工業株式会社「設定温度到達後も、除湿しながら冷房。ダイキンの『プレミアム冷房』」
https://www.ac.daikin.co.jp/customercenter/useful/article/60 - 環境省「令和8年度クールビズについて~デコ活で働き方を快適に~」(2026年4月21日発表)
https://www.env.go.jp/press/press_04384.html - 政府広報オンライン「適正な室温で快適に!クールビズの提案」
https://www.gov-online.go.jp/article/201106/entry-9580.html - パナソニック株式会社「熱交換換気システムとは?仕組みやメリット、注意点を解説」
https://solution.hvac.panasonic.com/blog/arch/heat-exchange-ventilation-system
よくある質問(FAQ)
Q1. 電気代を節約するなら、こまめにエアコンを消したほうがいいですか?
A. 短時間の外出であれば、消さずにつけたままにしておくほうが、電気代を抑えられる場合があります。
エアコンは電源を入れて設定温度に近づくまでの間に多くの電力を使うため、頻繁なオン・オフはかえって非効率になることがあります。
Q2. 「冷房28度」に設定しているのに暑いのはなぜですか?
A. クールビズで目安とされている28度は「室温」であり、エアコンの「設定温度」ではありません。
設定温度を28度にしても、日射や外気の影響で室温がそれ以上になっていることがあります。
湿度を下げる除湿機能の活用や、サーキュレーターの併用も体感の涼しさに役立ちます。
Q3. 高断熱・高気密の家では、エアコンの使い方は変えたほうがいいですか?
A. 断熱・気密性能が高い住まいは室温を保ちやすいため、こまめに消するよりも穏やかな運転を続けるほうが快適さと省エネを両立しやすいとされています。
ただし、間取りやエアコンの配置によっても体感は変わるため、気になる場合は建てた住宅会社にご相談ください。
Q4. 賃貸でエアコンを買い替えられない場合、できることはありますか?
A. フィルターの定期的な掃除、風量を自動設定にすること、サーキュレーターの併用、遮熱カーテンの活用など、設備を変えずにできる工夫は多くあります。
特に室外機まわりの環境を整えることも、効率に影響します。
Q5. 新築を検討中ですが、エアコンは何台必要ですか?
A. 必要な台数や設置場所は、間取り・窓の配置・断熱性能によって異なります。
設計段階で、住宅会社の担当者と一緒に空調計画を検討することをおすすめします。
HIKAGEの施工エリアについて
弊社では、富山市を中心に、射水市・高岡市・滑川市・上市町・立山町・舟橋村エリアで、家づくりのご相談を承っています。
事務所から車で40分圏内を主な商圏としております。
施工可能エリアの詳細は、お気軽にお問い合わせください。
ご相談・お問い合わせについて
エアコンの使い方ひとつをとっても、住まいの断熱・気密性能によって考え方は変わってきます。
「今のお住まいでもっと快適に過ごしたい」「これから家を建てるにあたって、光熱費のことも含めて相談したい」など、まずは情報収集からでも大丈夫です。
家づくり勉強会や個別相談、オンライン相談も承っておりますので、気になる点があればお気軽にご相談ください。